浅草キッド

kubogon

2010年11月06日 12:49

浅草キッドの書いた「キッドのもと」を読んでいる。

これは青春小説としては名著だと思う。

貧しかった二人の青春時代に自分の若い頃がオーバーラップして、少し泣けてきた。


西武線の六畳一間のアパートで、金はなく、時間だけはたっぷりあったあの頃。

あんまり腹へって、空き瓶拾い集めて酒屋に売り、インスタントラーメンで命をつないだとこもあった。

銭湯に行ったら、たまたま休みで、腹いせに玄関脇の水道で頭と体を洗って帰ってきたあの夏の日。





新青梅街道沿いで、交通量は激しかったが、恥ずかしいなんてちっとも思わなかった。

盗られるものがないので、部屋に鍵かけたこともなく、帰宅すると友人が勝手にテレビ見たりしていた。

床は全て新聞や衣類で埋まっており、歩くたびに何か割れる音がした。

それでもベッドの上だけは聖域で、ボズやマイケル・フランクス聞きながら、女の子といちゃついたりしたこともあったっけ。

何の根拠もない自信が腹の底の方で叫んでいた。「俺は特別だ。」


今、五十過ぎて、やれることよりやれないことの方が多くあるなんてことをたっぷり経験してきてしまったが、相変わらず、腹の底の自信だけはなくならない。

「やっぱり俺は特別だ。」

こんなタイプの人間は死ぬまで勘違いし続けて、それなりに幸せなんだろうな。

いいぞ、俺。





あなたにおススメの記事
関連記事